PMBOKベースのリスク管理を実務に落とす
リスク管理と聞くと、難しい理論や分厚い表を思い浮かべるかもしれません。しかし本質はシンプルで、「起きたら困ることを先に考え、手を打っておく」ことです。本システムのリスク管理は、国際的なプロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKの考え方をもとに項目が設計されています。この記事では、それを日々の実務で回す方法を紹介します。
リスク管理の4ステップ
ステップ | やること | 本システムでの操作 |
|---|---|---|
1. 特定する | 起きたら困ることを書き出す | リスクを起票する |
2. 評価する | 発生確率と影響度から優先度を決める | 評価の項目を入力する |
3. 対応策を決める | 避ける・減らす・移す・受け入れる、のどれかを選ぶ | 対応策を記録し、必要な作業をTODOやWBSとして関連付ける |
4. 監視する | 状況の変化を定期的に確かめる | ステータスを更新し、定例会で確認する |
優先度の決め方
すべてのリスクに同じように対応する必要はありません。発生確率と影響度の組み合わせで、手を打つ順番を決めます。

対応策の4つの型
型 | 考え方 | 例(キーマンの異動リスク) |
|---|---|---|
回避 | リスクの原因そのものをなくす | 異動の時期をずらしてもらうよう人事と調整する |
軽減 | 起きる確率や影響を小さくする | 業務知識をWikiにまとめ、2人目の担当者を育てる |
転嫁 | 影響を他者に移す | ベンダーとの契約で知識の引き継ぎ作業を依頼する |
受容 | 起きたときに対応すると決めておく | 異動が決まったら、引き継ぎ期間を2週間設けると決めておく |
リスクが現実になったら
リスクが実際に起きたら、それはもう「課題」です。次の手順で記録をつなぎます。
新しく課題を起票し、元のリスクと関連付ける
リスクのステータスを更新し、コメントに「課題○○として顕在化」と書く
用意していた対応策があれば、それを課題の対策として使う
この記録が残ることで、「予測できていたリスクか」「対応策は役に立ったか」を後から振り返ることができます。
リスクの洗い出しに使える観点
観点 | 問いかけの例 |
|---|---|
スケジュール | 他のプロジェクトや繁忙期と重ならないか? |
要員 | 特定の人にしか分からない作業はないか? |
技術 | 初めて使う技術や製品はないか? |
外部 | 取引先や他部門の回答待ちで止まる作業はないか? |
要件 | まだ決まっていない要件や、意見が割れている要件はないか? |
運用のコツ
月1回は全員で洗い出す:リスクは一度書いて終わりではありません。工程が変わるたびに新しいリスクが生まれます。
数は多すぎないように:優先度の高い10件前後をしっかり監視するほうが効果的です。
「心配ごと」の段階で気軽に起票する:確度が低くても、書いておけば全員で共有できます。
まとめ
リスク管理は、未来の課題を減らすための投資です。本システムでは、リスクの記録から対応作業、課題への転化までが一つの仕組みの中でつながるため、理論だけで終わらない、実際に回るリスク管理ができます。