システム活用法
WBSの作り方 ― 階層に上限がないときの設計のコツ
この記事でわかること
WBS(作業分解構成)は、プロジェクトでやるべき作業を、管理しやすい大きさに分けて並べたものです。本システムのWBS管理は階層に上限がないため、どんな規模のプロジェクトにも対応できます。その一方で、「どこまで細かくすればよいのか」に迷う方も多いでしょう。この記事では、WBSを作る手順とコツを紹介します。
基本の考え方:成果物から分解する
WBSは「何をするか」より先に「何を作るか」から考えると、抜け漏れが少なくなります。まず成果物を洗い出し、それを作るための作業に分けていきます。
本システムのWBSの部品
| 部品 | 意味 | 入力する主な項目 |
|---|---|---|
| 計画行(親項目) | 配下の作業をまとめる行。予定期間と計画人日の「上限」を定める | 予定開始日・予定完了日・計画人日 |
| 作業行(いちばん下の行) | 実際に作業する行。進捗はここに入れる | 担当者、主管チーム、ステータス、予定開始日・予定完了日、計画人日 |
計画人日は小数1桁まで入力できます(例:2.5人日)。実績人日は入力しません。タイムシートに入った時間を、1人日あたり8時間で割った値が表示されます(記事「タイムシートで実績を残し、見積の精度を上げる」)。
作成の手順
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 最上位にプロジェクト名を置く | 1つのプロジェクトに1つ |
| 2 | 2階層目に工程または主要な成果物を並べる | ステージ(工程)の名前とそろえる |
| 3 | 成果物を作るための作業に分解する | 「〜を作る」「〜を確認する」のように動詞で書く |
| 4 | いちばん下の作業に担当者・予定期間・計画人日を入れる | 担当者は1人に決める |
| 5 | 作業どうしの先行・後続を設定する | 依存タイプとラグも使える(記事「依存タイプとラグを使いこなす」) |
| 6 | 「管理者ツール」の「計画チェック」「先行後続チェック」「負荷分析」で確認する | 無理のある計画をこの時点で直す |
| 7 | 「スケジュール計算」でクリティカルパスを確認し、よければ「計算結果を反映」する | 日付は自動では変わりません。反映は管理員のみ |
| 8 | 計画が固まったら「ベースライン」に保存する | のちの変更を比べる基準になる(記事「ベースラインで計画の変更を説明できるようにする」) |
何階層まで分けるか
| プロジェクト規模 | 階層の目安 | 構成の例 |
|---|---|---|
| 小規模(〜10名) | 3階層 | プロジェクト → 工程 → 作業 |
| 中規模(10〜50名) | 4階層 | プロジェクト → 工程 → 成果物 → 作業 |
| 大規模(50名〜) | 5階層以上 | プロジェクト → サブプロジェクト → 工程 → 成果物 → 作業 |
階層に上限がないからといって、深くしすぎる必要はありません。「いちばん下の作業が適切な大きさになったら止める」のが原則です。
いちばん下の作業の「ちょうどよい大きさ」
| 目安 | 理由 |
|---|---|
| 期間は1〜10日程度 | 長すぎると遅れに気づくのが遅れる。短すぎると管理の手間が増える |
| 担当者1人で完了できる | 責任があいまいにならない |
| 終わったかどうかがはっきりわかる | 進み具合を正しく報告できる |
計画チェックを活かす
「管理者ツール」の「計画チェック」では、計画行の計画値と、配下の作業の集計を比べます。配下の合計が計画行の上限を超えているものは「超過」、余りがあるものは「余裕」、配下の作業がないものは「未計画」と表示されます。たとえば「計画行の計画人日が10なのに、配下の作業の合計が14」のような無理のある計画を見つけられます。作成したら必ず確認し、矛盾をなくしてから計画を確定しましょう。
あわせて「負荷分析」で、特定のメンバーに作業が集中していないかも確認します(記事「負荷の確認と平準化」)。
見せ方を使い分ける
- 階層のリスト:計画づくりと、親子関係の確認に向いています。
- ガント:期間の重なりと、本日線・稲妻線で、遅れの把握に向いています。
- ボード:作業行をステータスごとの列に並べます。朝会で、今日動かす作業を確認するのに向いています(記事「WBSボードとカンバンで朝会を回す」)。
運用のコツ
- WBSとTODOを使い分ける:計画に組み込む作業はWBS、その場で発生する小さな作業はTODOにします。
- 課題・変更と関連付ける:課題や変更要求で見直した作業は、関連設定でつなぎます。
- 最初から完璧を目指さない:先の工程は粗く作り、近づいてきたら細かくする「段階的な詳細化」で十分です。
- Excelで出力できる:WBSの一覧はExcel・CSVでダウンロードできるので、報告資料にも使えます。
まとめ
WBSは、成果物から分解し、いちばん下の作業をちょうどよい大きさにそろえるのがコツです。階層に制限のないWBSと計画チェックを使えば、規模にかかわらず無理のない計画を作ることができます。