遅延が発覚した日 ― 本システムでの対応の一日
この記事でわかること
どんなに丁寧に計画しても、プロジェクトでは遅れが起きます。大切なのは、遅れが分かったその日に、落ち着いて正しい順番で手を打つことです。この記事では、ある架空のシステム導入プロジェクトを例に、遅延が発覚した一日を本システムでどう過ごすかを紹介します。
状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プロジェクト | 販売管理システムの入れ替え(メンバー約30名) |
| 発生したこと | ベンダーから「結合テスト環境の構築が5日遅れる」と連絡があった |
| 心配なこと | 結合テストの開始が遅れ、本番稼働日に影響するかもしれない |
一日のタイムライン
| 時刻 | やること | 使う機能 |
|---|---|---|
| 9:30 | 課題を起票する | 課題 |
| 10:00 | WBSで影響を確かめる | WBS、スケジュール計算、負荷分析 |
| 11:00 | リスクを見直す | リスク、関連設定 |
| 14:00 | 変更要求を起票し、承認を依頼する | 変更管理、承認ワークフロー |
| 16:00 | 関係者へ周知する | ニュース、ウォッチ、通知 |
9:30 課題を起票する
まずは事実を記録します。「結合テスト環境の構築が5日遅れる」という課題を起票し、主管チーム(インフラチーム)と予定完了日を設定します。この時点では、原因や対策が分からなくても構いません。分かったことをすぐ記録することが最優先です。
10:00 WBSで影響を確かめる
課題を「環境構築」のWBSタスクと関連付け、そのタスクの予定完了日を5日後ろにずらします。続けて、WBSの「管理者ツール」から「スケジュール計算」を開きます。先行・後続の関係から、次のことがすぐに分かります。
| 確認すること | 分かること | 見る場所 |
|---|---|---|
| クリティカルパス上のタスクか | 遅れがそのまま本番稼働日に響くかどうか | スケジュール計算の「CP」の印 |
| フロート(余裕日数)は残っているか | 何日までの遅れなら吸収できるか | スケジュール計算の「フロート」列 |
| 後続タスクの担当者の負荷 | 日程をずらしたとき、特定の人に作業が集中しないか | 「負荷分析」(日次・週次・月次) |
| 計画からどれだけずれたか | 承認済みの計画に対する完了予定の遅れ | 「ベースライン」の比較 |
スケジュール計算は、画面で結果を見るだけでは予定日を書き換えません。後続タスクの日程を更新するときは、管理員が結果を確認して「計算結果を反映」を押します。反映は手入力の日付も上書きするので、対象を絞って実行します。
11:00 リスクを見直す
「ベンダーの作業遅延」がリスクとして登録されていれば、ステータスを更新し、今回の課題と関連付けます。予測していたことが起きたと記録に残すことで、対応策が役に立ったかを後で振り返れます。
14:00 変更要求を起票し、承認を依頼する
フロートでは吸収しきれず、本番稼働日を3日ずらす必要があると分かりました。計画を変えるため、変更要求を起票し、影響範囲と工数見積を記録します。課題と関連付けておけば、判定する人が経緯をすぐに確認できます。
変更の詳細画面の「承認」欄で、責任者を承認者に選んで承認を依頼します。承認者には通知が届き、承認されるまでは、変更を「完了」にできません。
16:00 関係者へ周知する
判定の予定と現在の状況をニュースで全体に周知します。課題や変更要求をウォッチしているメンバーには、更新のたびにシステム通知が届くため、個別に連絡して回る必要はありません。外部連携でSlackやTeamsに通知を流している場合は、タスクの更新もそちらに届きます。
この日に作られた記録
| 記録 | 管理機能 | つながり |
|---|---|---|
| 結合テスト環境の構築が5日遅れる | 課題 | リスク・WBS・変更と関連 |
| ベンダーの作業遅延 | リスク | 課題と関連 |
| 環境構築/結合テスト | WBS | 先行・後続でスケジュールを計算 |
| 本番稼働日を3日延期したい | 変更 | 課題・WBSと関連。承認ワークフローで承認を依頼 |
| 状況のお知らせ | ニュース | 全体への周知 |
この流れのコツ
- 「記録→影響確認→判断→周知」の順番を守る:影響を確かめる前に周知すると、情報が何度も変わって混乱します。
- つなぎながら記録する:新しい記録を作るたびに関連設定をしておくと、夕方には「なぜ本番稼働日が変わるのか」を一つの流れで説明できます。
- 数字で話す:クリティカルパスとフロートを使えば、「たぶん大丈夫」ではなく「あと2日までなら吸収できる」と具体的に説明できます。
まとめ
遅延そのものは避けられなくても、対応の質は仕組みで高められます。本システムでは、課題・リスク・WBS・変更・通知がひとつにつながっているため、遅れが分かったその日のうちに、影響の把握から関係者への説明までを終えることができます。